猫を迎えた日、何をすればいい?お迎え当日の過ごし方とやりがちなNG

「明日いよいよお迎え。でも、当日って何をすればいいんだろう…」楽しみと同じくらい、緊張しますよね。準備を終えても「これで合ってるのかな」と落ち着かないお迎え前夜、そんな声をよく聞きます。

この記事では、お迎え当日の流れを順番に、そしてやってはいけないことまで整理します。読み終える頃には、当日は「何をするか」より何をしないかが大事だと分かるはずです。

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お迎え当日、いちばん大事なのは「元気なら、何もしないこと」

お迎え当日にやることを、順番にお伝えする前に。まずこの記事全体の結論からお話しします。それは、【猫が元気なら、当日は何もしないのがいちばん】ということです。理由は、猫という動物の生き方そのものにあります。

今日は、猫にとって人生でいちばん怖い日です

猫は群れを作らず、自分の「テリトリー(縄張り)」を何よりも重視して生きる動物です。自分のにおいが染み込んだ場所をパトロールし、安全を確認することで、心の安定を保っています。

ところがお迎え当日は、自分のにおいが一切存在しない、完全な見知らぬ土地に突然放り出された状態です。移動の揺れや不審な音に脅えて、到着直後は極度の緊張状態にあり、心拍数や呼吸も上がりやすくなっています。猫にとってお迎え初日は、【生涯でもっとも強い恐怖を感じている日】と言っても大げさではありません。

ママちゃんの本音「せっかく来てくれたのに、放っておくなんてできる…?」

ママちゃん
ママちゃん

でも、待ちに待った日なんだよ?名前を呼んで、抱っこして、写真も撮りたいのに…一日中そっとしておくなんて、本当にできるのかなあ。

この気持ち、当然だと思います。むしろ、そう思えるくらい楽しみにしているからこそ、迎え入れる準備が整ったとも言えます。ただ、その【うれしい気持ちの向け方】だけは、今日一日だけ変えてあげてほしいのです。

そっとしておくことが、いちばん早く仲良くなる方法

猫実先生
猫実先生

「早く慣れさせるために、初日からたくさん名前を呼んで、抱っこして構ったほうがいい?」これはよく聞く話ですが、実は逆効果になりやすいと言われていますよ。

お迎え当日の猫にとって、見知らぬ人間に触られたり抱っこされたりすることは、極限の恐怖を感じる行為なんです。そっとしておくことで、猫は「この人たちも、この場所も、自分に危害を加えない安全な場所だ」と初めて納得できます。そこから、自分のペースで心を開いていく——。遠回りに見えて、これがいちばんの近道なんですね。

今日我慢することは、放置ではありません。猫のルールに合わせた、いちばん確実な歩み寄り方です。

ただし、そっとしておくことと、様子を見ないことは別です。初日でも動くべき場面は必ずあります。見ておくべきサインは、記事の後半でまとめてお伝えします。

お迎え当日、譲渡元で聞いておくこと・受け取るもの

お迎え当日は、猫を受け取るだけの日ではありません。譲渡元やペットショップ、ブリーダーさんから情報とモノを受け取る日でもあります。その場でしか聞けないことも多いので、チェックリストとして持っていってください。

聞いておく情報

  • 生年月日と、正確な月齢・週齢
  • これまで呼んでいた名前(ある場合)
  • これまでの健康状態(病歴、アレルギーの有無、現在の体調)
  • ワクチン接種歴(種類・接種日・今後の予定)
  • 糞便検査の結果と、寄生虫・ノミの駆除薬の投与履歴

もうひとつ、事前に相談しておきたいのが当日の朝ごはんをどうするかです。移動中の車酔いや緊張による嘔吐・誤嚥を防ぐため、できれば朝ごはんは抜いておきたいところ。ただ、実際にごはんをあげる・あげないを決めるのは譲渡元側です。当日いきなりお願いするのではなく、事前に相談しておきましょう。

受け取る・同じものを用意しておくもの

  • それまでと同じ銘柄のフード…急な変更は、下痢や食欲不振の引き金になります
  • においの付いた愛用品…毛布、ベッド、おもちゃなど。移動中と新生活での安心感につながります
  • それまで使っていたトイレ砂を少し…自分のにおいを手がかりに、排泄場所を認識するためです
  • ワクチン接種証明書・健康診断や検査の記録…コピーでも構いません。受診のときにそのまま使えます

特にフードとトイレ砂は、当日の食事と排泄をそのまま左右します。猫は緊張していると、食べ慣れたにおいのするものでなければ口をつけないことも多く、また「自分の尿のにおい」や「踏み慣れた砂の足触り」を基準にトイレの場所を判断しています。

「ぼくのにおいがするものがあると、安心するんだ…」

ゆうまさん
ゆうまさん

あのね、ぼく前から気になってたんだけど…自分のにおいがついたお布団があると、なんだか安心するんだ。どうしてなのかなあ…?

猫は、自分のにおいが染み込んだ範囲を「安全な場所」として認識しています。だからこそ、においのついた愛用品がひとつあるだけで、見知らぬ部屋の中に小さな安全地帯ができるのです。新品をそろえてあげたい気持ちはぐっとこらえて、使い込んだまま、洗わずに持ち帰るのがポイントです。

当日の流れ

猫をお迎えしたばかりのイラスト

ここからは、迎えに行くところから就寝までを順番に見ていきます。時刻で区切るのではなく、猫の様子が変わったら次へという進み方になります。

【先住猫がいる方・保護猫を迎える方へ】当日の流れが変わります

先住猫がいるお家に迎える場合や、外から直接保護した猫を迎える場合は、この後の流れが変わります。譲渡元 → 動物病院 → 帰宅 → 隔離部屋という順序になり、家に入れる前に受診するのが原則です。理由と詳しい考え方は、後半の「動物病院には、いつ連れて行く?」で解説します。

午前中に迎えに行く

お迎えは、できれば午前中の早い時間帯に。明るいうちに部屋の探索と食事を済ませ、夜までに落ち着ける時間をつくってあげるためです。

もうひとつ、移動やパニックによる急な体調の異変が起きたときに、診療時間内に相談できる余地を残しておくという意味もあります。ただし、異変がなければ当日の受診は避けます。この点は後半の「動物病院には、いつ連れて行く?」であらためて整理します。

移動中は、暗く・静かに・最短で

  • 朝ごはんは、できれば抜いておく(子猫の場合は、譲渡元に確認を)
  • キャリーにバスタオルなどの布をかけ、薄暗くして外の刺激を遮る
  • 揺れの少ない、最短ルートを選ぶ

朝ごはんを抜くのは、車酔いや緊張ストレスによる移動中の嘔吐・誤嚥を防ぐためです。「お腹を空かせてかわいそう」と感じるかもしれませんが、吐いてしまうほうが体への負担は大きくなります。

到着したら、まっすぐ隔離部屋へ

家に着いたら、キャリーに入れたまま、事前に用意しておいた静かな一室(隔離部屋)へ直行します。玄関でキャリーを開けるのは絶対に避けてください。到着直後の猫はパニック状態にあり、一瞬の隙に飛び出すと、そのまま脱走につながります。

キャリーを開けるのは、扉と窓が完全に閉まっている部屋の中だけです。換気のつもりで開けた窓や網戸のわずかな隙間も、この日は閉めきっておきましょう。

キャリーの扉を開けて、あとは待つだけ

キャリーを床に静かに置き、扉をゆっくり開けます。そのあとは、【何もしません】。

【NG】中に手を入れて引っ張り出す、キャリーを傾けて滑り出させる・・・これは絶対に避けてください。
今この子にとって、キャリーは唯一のシェルターです。安全地帯から人間の力で引きずり出される経験は、致命的な恐怖と不信感として残ってしまいます。

猫が自分からゆっくりにおいを嗅ぎ、安全を確認して出てくるまで、何時間でも静かに待ちます。これが当日いちばんの「やること」です。

出てきたら、近寄らず見守る

猫が自分から出てくると、低い姿勢でソワソワとにおいを嗅ぎながら部屋を歩き回りはじめます。これは「探索行動」といって、周囲の安全を確認し、自分のにおいを付けていく、極めて正常な本能行動です。

ここでも、近寄らない・声をかけない・目で追いすぎない。手を出さずに静かに見守るのが正解です。うれしくて名前を呼びたくなりますが、今は「気配を消して見守る」ことが最大の応援になります。

落ち着いた様子が見えたら、ごはんを置いてみる

しばらく歩き回り、立ち止まる・じっと座るなど、緊張がやや落ち着いた仕草が見えてきたら、前の環境と同じ銘柄のフードをお皿に入れて、静かに置いてみます。

食べなくても、無理強いはしません。お皿を置いたまま、そっとしておきます。初日は一切食べない猫も珍しくありません。目の前に置いて見つめたり、口元へ運んだりすると、かえって食事そのものが怖い体験になってしまいます。

トイレのサインを見逃さない

猫がソワソワと床のにおいを嗅ぎ回ったり、前足で床を掘るような仕草を見せたら、それが排泄の合図です。優しくトイレへ連れていき、砂の上にそっと置いてあげましょう。

ここで、譲渡元から分けてもらったトイレ砂が効いてきます。猫は自分のにおいや踏み慣れた砂の感触を手がかりに排泄場所を認識するため、新しいトイレに少し混ぜておくだけで、初日から場所を理解してもらいやすくなります。

夜は、静かに

夜も、決して構いすぎないこと。猫がリラックスして眠れるように、部屋は静かに保ちます。安心できるベッドや、扉を開けたままのキャリーを近くに置いておくと、自分で好きな場所を選べます。

パパちゃん
パパちゃん

改めて並べてみると、当日にやることって「待つ」「見守る」「静かにする」ばっかりだね…。準備がしっかりできていれば、あとは我慢大会みたいなものかあ。

なぜ「一室スタート」なのか

「せっかくだから、家中を見せてあげたほうが早く覚えるのでは?」と思う方は多いのですが、初日は静かな一室、またはケージの中からのスモールスタートが鉄則です。

家中を自由にさせると、かえってパニックになります

猫にとって、テリトリーが広すぎることは安心ではなく不安です。自分の力では管理しきれない広さは「守りきれない」という防衛本能の限界につながり、恐怖やパニックを悪化させてしまいます。まず一部屋を完全に自分の縄張りにしてもらい、そこが安全だと納得できてから、少しずつ他の部屋を開放していくなど・・・これが猫の感覚に合った進め方です。

事故のリスクも上がります

家中を開放すると、家具の裏の隙間に入り込んで出られなくなる、浴室の残り湯に転落する、落ちている物や危険な植物をかじってしまうといった事故のリスクが一気に上がります。パニック状態の猫は、ふだんなら行かない場所にも飛び込んでいきます。

家全体の危険物の片づけや、危険な植物の扱いについては、こちらの記事で詳しく解説しています(猫に危険な観葉植物・家庭用品リスト)。お迎え前に済ませておきたい作業です。

隔離部屋に置いておくもの

  • トイレ(それまでの砂を少し混ぜたもの)
  • 食器(フード用と水用)
  • ベッド(においの付いた愛用品や、段ボール箱にタオルを敷いたものでも)
  • 爪とぎ
  • ケージ(新しい環境に慣らすときの避難所として)

それぞれの選び方や、置き場所の考え方は別記事にまとめています(猫を迎える前に必要なグッズは7つ)。当日は、まず「そろっていること」を優先してください。

隙間は、猫を出す前にふさいでおく

恐怖を感じた猫は、周囲を囲まれて見つかりにくい「狭くて暗い隙間」に深く潜り込もうとします。冷蔵庫の裏、家具の隙間、テレビ台の奥、クローゼットの暗がりなど、キャリーを開ける前に、これらをふさいでおきましょう。

判断に迷ったときの目安は、頭が入る隙間は、全身が通ると考えること。「ここは狭いから大丈夫だろう」という人間の感覚は、猫には通用しません。

猫実先生
猫実先生

猫は、高い場所も大好きなんですよ。見晴らしがよくて外敵が来ない場所として、カーテンレールの上やエアコンの上に駆け上がることがあります。初日は我を忘れて登ってしまい、そこから落ちてしまうこともあるので、登れそうな場所も一度見ておくと安心ですね。

猫を怖がらせない、接し方の基本

当日はそっとしておくのが基本ですが、同じ部屋に入ることはあります。そのときの立ち居振る舞いひとつで、猫の緊張は変わります。ここは今日だけでなく、この先ずっと使える基本です。

目を見つめない

猫の社会では、じっと目を見つめる行為は敵意・威嚇・攻撃の合図と受け取られます。かわいくてつい見つめてしまいますが、初対面の今日は、視線をそらすように接するのが基本です。

しゃがんで、頭の位置を低くする

人間が立ったまま近寄ると、猫には巨大な捕食者が迫ってくるような威圧感になります。しゃがむ、床に寝そべるなどして、猫の目線よりも自分の頭を低く保ちましょう。

手は、あごより下からゆっくり

頭の上から急に手を出すと、鳥などに襲われる本能的な恐怖を呼び起こしてしまいます。手を差し出すときは、猫のあごより低い位置から、ゆっくりと指先を。あとは猫のほうから鼻を近づけて、においを嗅ぎに来るのを静かに待ちます。

声は小さく、低く、落ち着いたトーンで

大きな声や高いキーの声は、猫を驚かせます。話しかける必要があるときも、静かで低く、落ち着いた優しいトーンで、小さく。うれしさのあまり声が高くなりがちな日なので、意識しておきたいポイントです。

家族全員でルールを共有する

お迎え当日は、来客を招くことは避けてください。「新入りを見に行きたい」という善意の訪問も、この日は次の機会にお願いしましょう。

お子さんを含めた家族全員で、次のルールを共有しておくと安心です。

  • 触らない
  • 追いかけない
  • 大声を出さない
  • ケージや隠れ場所を囲んで覗き込まない
ママちゃん
ママちゃん

大人が我慢するのはもちろんだけど、子どもに「今日は覗きに行かないでね」って伝えるのが、いちばん難しそう…。お迎えの前の日に、家族みんなで確認しておいたほうがいいね。

夜鳴きが始まったら

お迎え当日の夜、多くの飼い主さんがぶつかるのが「夜鳴き」です。ここは、当日の中でもいちばんつらい時間かもしれません。

なぜ鳴くのか

夜になって周囲が暗く静まり返ると、見知らぬ場所に一人で取り残された寂しさや不安、そして前の環境(母猫やきょうだい、以前の飼育者)への恋しさから、猫は大きな声で鳴き続けることがあります。悪いことをしているわけでも、わがままでもありません。

まず、原因を確かめます

鳴き声が聞こえたら、いきなり「我慢」に入るのではなく、まず原因の確認からです。次の点を、離れた場所から静かに確かめてください。

  • 空腹ではないか
  • 寒くないか
  • トイレは汚れていないか
  • 苦しそうな様子はないか(呼吸が荒い、何度もトイレに行く、ぐったりしている)

特に最後の項目は大切です。この記事の後半で紹介する【受診のサイン】に当てはまるようなら、それは夜鳴きではなく体調のサインかもしれません。時間帯にかかわらず、動物病院に相談してください。

それでも鳴くときは、反応しないこと

猫実先生
猫実先生

体調に異変がないことを確かめたうえで、それでも鳴いているとき。ここはつらいのですが、【反応しない】のがこの子のためだと言われていますよ。

鳴くたびに声をかけたり、抱き上げたり、おやつをあげたりすると、猫の中に「鳴けば来てもらえる」という結びつきができてしまいます。これが習慣になると、夜鳴きが慢性化して、猫も飼い主さんも眠れない毎日になりかねないんですね。

くり返しになりますが、これは原因の確認 → それでも鳴くなら反応しないという順番があってこそです。「とにかく無視すればいい」ではありません。空腹でも寒さでも体調不良でもないと確かめられたからこそ、静かに見守るという選択ができます。

今夜が、いちばんつらい夜かもしれません。それでも、鳴き声にこたえないことを選べた飼い主さんは、この子の眠れる夜を守っていることになります。

動物病院には、いつ連れて行く?

初回の健康診断をいつにするかは、迷いやすいポイントです。ここは【原則】と【例外】をはっきり分けて考えてください。

当日の受診は避ける

「早く健康チェックをしてもらいたい」という気持ちはよく分かります。ただ、お迎えという大きな環境変化に、病院の不慣れなにおいや他の動物の鳴き声といった恐怖が重なると、ストレスが限界を超えてしまうことがあります。緊急性がない限り、当日の受診は避けるのが原則です。

落ち着いたら、できるだけ早めに

新しい環境に慣れ、ごはんをしっかり食べるようになってきたら、できるだけ早めに初回の受診を。寄生虫や猫風邪は、見た目では分からないことがあります。「もっと慣れてから」と先延ばしにしているうちに、発見が遅れてしまうケースもあります。

猫実先生
猫実先生

「何日以内に」と決めてしまうと、その日まで待つ理由になってしまうこともあるんですね。日数ではなく、【落ち着いた様子が見えたら次の一歩】と考えていただくのがいいと思いますよ。

【例外】この場合は、家に入れる前に病院へ

次のどちらかに当てはまる場合は、原則と逆になります。家に連れ帰る前に、動物病院へ直行してください。

  • すでに先住猫がいるお家に迎える場合
  • 外から直接保護した猫を迎える場合

理由は、感染症や寄生虫を先住猫に移してしまうリスクがあるためです。外で暮らしていた猫は、ノミやダニ、お腹の寄生虫を持っていることが少なくありません。一度家の中に入れてしまうと、接触していなくても環境を通じて広がることがあります。この場合の当日の流れは、譲渡元 → 動物病院 → 帰宅 → 隔離部屋です。

受診時に持っていくもの

  • ワクチン接種証明書や、健康診断・検査の記録(お迎え時に受け取ったもの)
  • 便を少量
  • 譲渡元から聞いた情報(月齢、これまでの健康状態、駆虫の履歴など)

便は、できれば受診当日の朝に採取したものを持っていくと安心です。

【要注意】初日に起きやすいトラブルと、受診の目安

ここからは、【そっとしておく】から【動く】に切り替えるべき場面の話です。記事の前半でお伝えした「何もしない」は、あくまで元気な場合の話。次のような場面では、迷わず動いてください。

脱走

初日にもっとも多いのが、玄関でキャリーを開けた一瞬の隙や、換気のために開けた窓・網戸の隙間からの飛び出しです。お迎え直後のパニック状態の猫は、一度外に出ると極度の恐怖から飼い主さんの声も届かず、室外機や車の下といった狭い隙間に深く隠れてしまい、保護が非常に難しくなります。

だからこそ、キャリーを開けるのは扉と窓が完全に閉まっている部屋の中だけ。これは当日いちばん確実に守れる予防策です。

隙間に隠れて出てこないとき

家具の裏やクローゼットの奥に潜り込んで出てこない——これ自体は、猫としてごく自然な行動です。無理に引っ張り出そうとせず、隙間のすぐ近くにフード・水・トイレを静かに置いて、人は部屋から出ましょう。

夜、人が寝静まって周囲が完全に静かになれば、自分から這い出してきて、においを嗅いだりごはんを食べたりするようになります。手を突っ込んで引っ張り出そうとすると、パニックで咬んだり引っ掻いたりして、猫も人も大きなケガを負うことがあります。

体が挟まって抜けられないとき

「隠れて出てこない」と「挟まって出られない」は、まったく別の状況です。挟まっている場合は、待ってはいけません

見分け方の目安は、次の2点です。

  • 自分で体勢を変えられているか
  • 呼びかけたときに、体の向きが変わるか

自力で動けていないようなら、無理に引っ張らず、家具側を動かす・外して空間を広げる方向で対処します。自力で解決できないとき、猫が鳴き続ける・ぐったりしているといった場合は、動物病院に相談してください。

ストレスによる体調不良

環境変化の大きなストレスから、急に体調を崩すことがあります。次のような様子は、様子見の対象ではありません。

  • 激しい嘔吐を繰り返す
  • 水のような下痢、血の混じった便
  • 何度もトイレに行くのにおしっこが出ない、血尿が出る

猫風邪などの発症

環境変化による強いストレスは、猫の免疫力を大きく下げます。それまで潜んでいたウイルスなどによる猫風邪(目やに、鼻水、くしゃみ)が、お迎え直後、特に子猫で急に出てくることがあります。「疲れているだけかな」と思っても、症状が続くようなら早めに相談しましょう。

様子を見てよいのは、ここまでです

猫が静かにキャリーやケージの中にいて、目立った外傷もなく、【数時間〜半日程度】ごはんやトイレを我慢しているだけなら、そっとしておいて大丈夫です。初日に食べない、出さないこと自体は珍しくありません。

ただし、ここから先は様子見の範囲を超えます。時間の起算点は、いずれも【お迎え後(家に到着してから)】です。

  • お迎え後、【おしっこが1日以上出ていない】ときは受診を
  • お迎え後、【丸一日まったく食べない】ときも相談を

移動のために朝ごはんを抜いている場合、到着した時点ですでに半日近く食べていないことになります。「今朝から数えて」ではなく「家に着いてから」で数えてください。

猫実先生
猫実先生

これはあくまで【目安】であって、「ここまでは待っていい」という約束ではないんですね。様子がおかしいと感じたら、目安を待たずに動物病院へ相談してください。早すぎる相談で困ることは、まずありませんよ。

すぐに動物病院へ

次のような様子が見られたら、様子を見ずに、すぐに動物病院へ連絡してください。

  • 何度も激しく吐く(胃液や泡を吐き続ける)
  • 水のような下痢や、血便・血尿
  • 口を開けてハアハアと苦しそうに呼吸している
  • ぐったりして、呼んでも反応しない
  • 全身を硬直させて震える
  • 有毒な植物や薬品などを口にした疑いがある

誤食が疑われるときは、何をどのくらい口にした可能性があるかを伝えられるようにしておくと、その後の対応がスムーズです。危険な物や植物の一覧はこちらにまとめています(猫に危険な観葉植物・家庭用品リスト)。

【絶対NG】自宅で無理に吐かせない

猫実先生
猫実先生

「早く吐かせなきゃ」と思っても、ご自宅で無理に吐かせるのは絶対に避けてください。塩を飲ませる方法は高ナトリウム血症を招きますし、オキシドールは胃や食道の粘膜を傷つけてしまいます。

安全な催吐処置や胃洗浄、点滴や画像検査は、動物病院でなければできない対応です。迷っている時間がいちばんもったいないので、まずは電話で相談してくださいね。

なお、アロマや漂白剤などの危険な液体が皮膚や目に付いてしまった場合は、大量の流水で優しく、しっかり洗い流したうえで相談してください。

先住猫・先住犬がいる場合

当日の対面は、絶対に避けてください

「まずは顔合わせだけでも」と思いたくなりますが、お迎え当日の直接対面は避けてください。移動のストレスでパニック状態の新入り猫にとって、突然の遭遇は致命的な恐怖になります。先住猫にとっても、自分が築いた縄張りに見知らぬ侵入者が現れたことになり、激しいケンカに発展しかねません。

最初の対面で最悪の印象がついてしまうと、その結びつきは非常に強く残り、その後の同居がずっと難しくなってしまいます。急がないことが、いちばんの近道です。

家に入れる前の受診について

先住猫がいるお家では、感染症や寄生虫を持ち込まないために、【家に入れる前に動物病院へ】が原則です。当日の流れそのものが変わりますので、前の章「動物病院には、いつ連れて行く?」の【例外】をあわせてご確認ください。

まずは完全に別の部屋で

最初の数日間は、別々の部屋で完全に隔離します。ドア越しに気配とにおいだけを感じさせ、においのついたタオルの交換など、段階を踏んで少しずつ慣らしていきます。時間はかかりますが、ここを丁寧にやっておくと、その後の同居生活がぐっと楽になります。

先住猫との具体的な慣らし方の手順は、別記事で詳しく解説しています(多頭飼いの準備と注意点)。

しょうちゃん
しょうちゃん

ねぇパパちゃん、新しい子が来たら、ぼくはすぐ会いに行っちゃだめなの〜?

パパちゃん
パパちゃん

うん、ドア越しのにおいだけ、しばらく我慢だね。初日にケンカしちゃうと、その印象がずっと残っちゃうらしいから…。

【体験談】わが家が過ごした、お迎え当日

わが家には、しょうすけとゆうまの2匹がいます。お迎え当日の過ごし方は、2匹でずいぶん違いました。

パパちゃん
パパちゃん

しょうすけは、ママちゃんが当時お迎えした子なんだけど、大手のペットショップで購入したということもあって、しばらく病院には連れて行かなかったそうなんだよね。

一方、ゆうまは事情が違いました。購入したブリーダーさんの環境がちょっと良くないこともあり、お迎えの時点で耳ダニがすごく、便には虫もいる状態。慣れる・慣れない以前の問題だったので、【すぐに病院に連れて行きました】。

ただ、当のゆうまはというと、当時からぼーっとした性格でした。病院に行ってもすぐに喉をゴロゴロ鳴らすし、家でもいきなりケージで快適そうに過ごすし、ごはんはよく食べて、排泄もちゃんとする。ダニと虫以外は、お迎え当初から心配のない過ごし方だったのです。

ゆうまさん
ゆうまさん

ぼくはねえ…ケージの中が、けっこう気に入っちゃったんだ。ごはんもおいしかったし…。

同じ「お迎え当日」でも、迎える経緯によって、そして猫の性格によって、その日の過ごし方はまったく違ってきます。ゆうまのように、ダニや寄生虫がはっきりしている場合は、慣れるのを待たずに受診が必要になります。この記事で紹介した流れも、目の前の子の状態に合わせて使ってください。

まとめ

ママちゃん
ママちゃん

当日は何をすればいいのか不安だったけど…何をすればいいか不安になるけど、手を出さずに見ていることが、いちばんの正解なんだね

しょうちゃん
しょうちゃん

ぼくは、かまってもらうの大好きだけど〜、はじめての日はきっとドキドキだと思うんだ。そっとしててもらえたら、きっと安心できると思うよ〜!

ゆうまさん
ゆうまさん

ぼくはねえ…狭いところでじっとしてるのが、いちばん落ち着くんだ…。出てこないのは、きらいだからじゃないんだよ。

パパちゃん
パパちゃん

調べれば調べるほど、当日にやることって準備の部分なんだよね。隙間をふさいで、一室を整えて、同じフードと砂を用意してあとは待つ。今日我慢した分だけ、この子が心を開くのが早くなる。そう考えると、我慢もちょっと楽しみになってくるかも。

猫実先生
猫実先生

お迎え当日は、キャリーを開けられる部屋を整えて、扉を開けたら待つ。声もかけず、目も合わせず、静かに見守る——初日にできる最大の愛情は、そっとしておくことなんですね。焦らなくて大丈夫ですよ。その子のペースで、少しずつ出てきてくれるはずです。

ただし、【おしっこが1日以上出ていない】【丸一日まったく食べない】【ぐったりして反応がない】【何度も激しく吐く】——このようなときは、初日であっても様子を見ずに、動物病院へ相談してください。判断に迷うときも、獣医師さんに相談していただくのがいちばん安心です。

今日は静かに、明日を楽しみにしていてくださいね。