猫に危険な観葉植物・家庭用品リスト|部屋に置いてはいけないものと、口にした時の対応

「この観葉植物、猫がいても大丈夫かな…?」お部屋を見回すと、判断に迷うものが次々と出てきますよね。わが家も、何を残して何を片付けるべきか分からず調べ回りました。なぜ猫だけが中毒を起こしやすいのかという理由から、置いてはいけないもの、そして万が一口にしてしまった時の対応までお伝えします。読み終える頃には、迷わず部屋を片付けられるはずです。

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なぜ猫は、人や犬より中毒を起こしやすいのか

ママちゃんの疑問「人間が食べても平気なのに、どうして猫だけ…?」

ママちゃん
ママちゃん

うちで普通に使ってるものが猫には毒って言われても、正直ピンとこないのよね。人間は平気なのに、どうして猫だけそんなに危ないの?

パパちゃん
パパちゃん

たしかに。犬は大丈夫なのに猫はダメ、みたいな話も聞くよね。何が違うんだろう。

猫には「解毒のしくみ」がひとつ足りない

猫実先生
猫実先生

とても大事なところに気づかれましたね。実はこれ、猫の体のつくりにはっきりした理由があるんですよ。

猫実先生
猫実先生

肝臓には、体に入ってきた有害な物質を処理して、外に出せる形に変える働きがあります。その処理経路のひとつに「グルクロン酸抱合」と呼ばれるものがあるんですね。有害物質に糖をくっつけて水に溶けやすくし、尿や胆汁と一緒に安全に排出するしくみです。

ところが猫は、この働きを担う酵素の活性が、生まれつき欠けているか、極めて低いとされているんです。

パパちゃん
パパちゃん

えっ、生まれつきないんですか。

猫実先生
猫実先生

猫は完全な肉食動物として進化してきました。植物を食べる必要がなかったので、植物由来の化学物質を処理する機能を発達させる必要もなかった、と考えられています。進化の過程で「要らなかったもの」なんですね。

だから「人や犬で平気」は、猫の判断材料になりません

人や犬は、植物の有毒成分やアロマの精油成分、人間用の医薬品などを、この経路で無毒化して排出できます。しかし猫にはそれができません。

結果として、有毒物質が分解されないまま高濃度で全身を巡り、腎臓や肝臓といった主要な臓器の細胞を、急激に破壊してしまうことになります。

猫実先生
猫実先生

ですから、「人間が触っても平気だから」「犬は大丈夫だったから」という基準は、猫には当てはめられないんですね。ここを押さえておいていただけると、このあとお話しするリストも、丸暗記ではなく理屈として理解していただけると思いますよ。

猫は、危険なものを自分で避けられません

揺れる葉や花は「小動物の動き」に見えている

風でゆらゆら揺れる葉っぱや花びら。猫にとってあの動きは、ネズミやヘビ、虫といった小動物の動きにそっくりなんですね。

野生のハンターとしての狩猟本能が反射的に刺激され、我を忘れて噛みついてしまいます。「毒だから避ける」という判断が入る余地は、そこにはありません。

退屈も引き金になる

室内で退屈している猫は、カサカサ、サラサラといった質感や音に強い好奇心を示します。前足で触り、舐め、味を確かめようと噛んでいるうちに、誤食に至ることがあります。

甘い味がする毒もあります

猫実先生
猫実先生

「猫は本能で危険なものを避けるはず」という話をよく聞きますが、これをはっきり否定する例があるんですよ。

猫実先生
猫実先生

不凍液や古い保冷剤に含まれるエチレングリコールという物質は、猫にとって甘い味がするんです。避けるどころか、好んで舐めてしまうんですね。

パパちゃん
パパちゃん

本能が逆に働いてしまうんですか…。

猫実先生
猫実先生

そうなんです。ですから「うちの子は賢いから、危ないものは食べない」という前提は、残念ながら成り立たないと考えていただきたいですね。

【最重要】置いてはいけない植物

ユリのなかまは、特に危険です

猫実先生
猫実先生

植物の中でも、まず知っていただきたいのがユリのなかまです。猫にとっては「超猛毒」と表現されるほどの危険性があるとされています。

テッポウユリ、オニユリ、チューリップ、ヒヤシンス、カサブランカ、スズランなど。原因となる成分は完全には解明されていないものの、猫が摂取すると急性の腎障害を引き起こすことが知られています。

危険なのは、花や葉だけではありません

猫実先生
猫実先生

ここが特に怖いところなんですが、猫が直接かじらなくても中毒は起こり得ます。

  • 花粉が空気中を舞い、体に付着したものを毛づくろいで舐め取る
  • 花を生けていた水を飲む
猫実先生
猫実先生

花粉1粒、あるいはごく少量でも致死量になり得るとされています。「ちょっと舐めた程度」という量の問題ではないんですね。

症状が治まっても、腎臓の障害は進行します

猫実先生
猫実先生

そしてもうひとつ、絶対に覚えておいていただきたいことがあります。

初期に嘔吐などの症状が出たあと、それがいったん治まることがあるんです。そうすると、飼い主さんは「回復した」と受け取ってしまう。ところが体の中では、腎臓の障害が症状のないまま着実に進行していることがあるんですね。

猫実先生
猫実先生

再びはっきりした症状が出た段階では、すでに手遅れになっていることが少なくないと言われています。「治まったから大丈夫」という判断が、いちばん危ないんです。

なお、アロエについても、猫に危険な植物として書籍に記載があります。

口の中を傷つける植物

ポトス、モンステラ、スパティフィラム、フィロデンドロン、ディフェンバキア、アグラオネマ、アロカシア、カラー、カラジウム、シンゴニウムといったサトイモ科の植物です。

これらには「シュウ酸カルシウムの針状結晶」が含まれています。噛んだときに、この結晶が口の中の粘膜に物理的に突き刺さり、激しい痛み、大量のよだれ、口内の炎症や潰瘍を引き起こします。

観葉植物として人気の高いものが多く並んでいる点に、注意が必要ですね。

球根に毒が集中する植物

スイセンやシクラメンなどは、特に球根に毒性が集中しているとされています。

スイセンにはリコリンという有毒アルカロイドが含まれ、激しい胃腸炎を引き起こします。鉢植えの場合、土を掘り返して球根に届いてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

心臓に作用する植物

キョウチクトウ(ニチニチソウ、プルメリアを含む)、ジギタリス、カランコエなどには「強心配糖体」と呼ばれる成分が含まれています。

心筋の収縮に直接作用し、致死的な不整脈や心停止を引き起こす恐れがあります。

同じく心臓や神経に作用するものとして、イチイ(タキシン)、ツツジのなかま(アザレア、シャクナゲ、レンゲツツジ、サツキなど。グラヤノトキシン)も挙げられています。

季節の飾りに要注意

猫実先生
猫実先生

事故が増えやすいタイミングというのがあってですね。お正月やクリスマスなど、普段は家にない植物が持ち込まれる時期なんです。

猫実先生
猫実先生

お正月ならユリやウメの花、クリスマスならポインセチアの鉢植え。いただきものの花束というのも、この時期は多いですよね。

ママちゃん
ママちゃん

たしかに、もらった花をとりあえず飾っちゃうことはあるかも。

猫実先生
猫実先生

普段は気をつけていても、季節のイベントで気が緩む。そういうタイミングこそ、意識していただけたらと思います。

その他の危険な植物一覧

調べた限りで、猫に危険な植物を整理しました。

科・分類植物名
ユリのなかまテッポウユリ、オニユリ、チューリップ、ヒヤシンス、カサブランカ、スズラン
サトイモ科ポトス、モンステラ、スパティフィラム、フィロデンドロン、ディフェンバキア、アグラオネマ、アロカシア、カラー、カラジウム、シンゴニウム、ショウブ
ナス科ナス、トマト(葉・茎・未熟な実)、イヌホオズキ、ブルンフェルシア(ニオイバンマツリ)、ジャガイモの芽・緑色の皮、チョウセンアサガオ(ダチュラ)、ホオズキ
キンポウゲ科ラナンキュラス、デルフィニウム、ラークスパー、クリスマスローズ、トリカブト、フクジュソウ、クレマチス、アネモネ、キツネノボタン
バラ科アンズ、カリン、ビワ、ウメ、モモ、プラム、サクランボ(種や未熟な実)
ツツジ科アザレア、シャクナゲ、レンゲツツジ、サツキ
ヒガンバナ科スイセン、アマリリス
キク科マーガレット、デージー、マリーゴールド
キジカクシ科サンセベリア、ドラセナ、ユッカ、アスパラガス・スプレンゲリ
ベンケイソウ科カランコエ、金のなる木
マメ科スイートピー、フジ
クスノキ科アボカド、月桂樹
トウダイグサ科ポインセチア、トウゴマ
その他アジサイ、ジャスミン、ベゴニア、アサガオ、シクラメン、キキョウ、ジンチョウゲ、ナンテン、イヌサフラン、ジギタリス、ソテツ、キョウチクトウ(ニチニチソウ、プルメリア含む)、イチイ、アヤメ・ハナショウブ・アイリス、インドゴムノキ(ベンジャミン含む)、オシロイバナ、カーネーション、セイヨウヒイラギ、ゼラニウム、ユーカリ、アロエ

見ていただくと分かる通り、人気の観葉植物も、切り花として一般的なものも、幅広く含まれています。

「これなら安全」と言い切れる植物は、ありません

パパちゃん
パパちゃん

じゃあ逆に、猫がいても大丈夫な植物ってどれなんでしょう?

猫実先生
猫実先生

それが、いちばん難しいご質問なんですよ。どの植物がどのくらいの毒性を持つのか、厳密に証明されているわけではないんです。ですから「これは安全です」と保証できる植物は、実のところ存在しないんですね。

猫実先生
猫実先生

ある専門家の方は、ご自宅ではどんな植物もお花も一切飾らない・持ち込まない、と徹底されているそうです。リストにない植物なら安全、ということにはならない。そう考えていただくのが、いちばん確実だと思いますよ。

置いてはいけない家庭用品

人間用の薬・サプリメント

猫実先生
猫実先生

人間用の薬は、猫にとって非常に危険です。これも、冒頭でお話しした解毒経路の話につながっているんですよ。

アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤・風邪薬など)

猫は代謝できないため、赤血球のヘモグロビンが急速に酸化され、メトヘモグロビン血症という状態になります。重篤な貧血や肝細胞の壊死を引き起こします。

イブプロフェン

胃粘膜を保護する働きを阻害し、胃潰瘍や急性の腎障害を引き起こします。

α-リポ酸(サプリメント)

猫実先生
猫実先生

人間には抗酸化成分として知られていますが、猫にとっては極めて強い毒性を示すとされています。1粒でも命に関わることがある、と考えていただきたいですね。低血糖や、肝臓・神経の損傷を引き起こす恐れがあります。

なお、以前に処方された余りの薬を、自己判断で猫に与えるのも極めて危険です。他の猫に処方されたものであっても同様です。

アロマオイル・精油・ディフューザー

パパちゃん
パパちゃん

天然由来のアロマなら、化学薬品より安心なんじゃないかと思ってたんですけど…。

猫実先生
猫実先生

気持ちはよく分かるのですが、これは実は逆なんですね。

猫実先生
猫実先生

精油は、植物の成分を高濃度に凝縮したものです。そして猫は、植物由来の化学物質を無毒化するあの経路を持っていない。つまり、天然由来だからこそ、猫にとっては処理できない毒物になり得るんです。

ティーツリー、ユーカリ、レモングラス、ペパーミントなどが挙げられています。皮膚や呼吸器から吸収され、急性の肝不全や神経の麻痺を引き起こす恐れがあるとされています。

猫実先生
猫実先生

しかも、猫が直接触れなくても危険です。ディフューザーで空気中に広がった成分が被毛に付着し、毛づくろいで舐め取ってしまう。この経路があるので、「猫がいない部屋で使う」という対策も確実とは言えないんですね。使わないと決めてしまうのが、いちばん確実だと思いますよ。

洗剤・漂白剤・柔軟剤・消臭除菌スプレー

塩素系漂白剤・カビ取り洗浄剤(次亜塩素酸ナトリウム)

強い腐食作用に加え、発生する塩素ガスが気道の湿った粘膜と反応し、呼吸器の粘膜を著しく傷つけます。目や口の粘膜の化学熱傷、呼吸器不全を引き起こす恐れがあります。

香料入り洗剤・柔軟剤・消臭除菌スプレー

猫実先生
猫実先生

こちらは、じわじわ効いてくるタイプの危険です。合成香料などの化学成分が猫の被毛に付着し、それを毛づくろいで全部舐め取ってしまうんですね。

皮膚炎や呼吸器への刺激、肝臓や腎臓への負担につながると言われています。猫と暮らすご家庭では、無香料タイプを選ぶという選択肢を考えてみていただけたらと思います。

殺虫剤・殺鼠剤・防虫剤・除草剤

  • 家庭用殺虫剤・くん煙剤(バルサン等):有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系など。吸入や被毛付着からの摂取で、呼吸麻痺やけいれんを引き起こします
  • 殺鼠剤(ワルファリン、ジフェチアロール):血液を固める働きを阻害します。外傷がないのに全身の血管から内出血が起こり、血尿や吐血、重篤な貧血に至ります
  • ゴキブリ団子(ホウ酸):胃壁の破壊、脱水、腎障害
  • 防虫剤(樟脳、ナフタリン、パラジクロロベンゼン)、虫除け剤(ディート)、除草剤、ナメクジ駆除剤、アリ駆除剤
猫実先生
猫実先生

これらを使う季節、つまり春から夏にかけては、事故が起きやすくなる時期でもあります。害虫対策と猫の安全、両方を考えて方法を選んでいただきたいですね。

犬用の駆虫薬

猫実先生
猫実先生

犬猫を一緒に飼われているご家庭に、特にお伝えしたいことがあります。

ペルメトリンを含む犬用の駆虫薬は、猫に対して極めて強い神経毒性を示します。猫が直接使われていなくても、同居犬に塗布された製剤に触れる、あるいは舐めるだけで、致命的な神経症状を起こす恐れがあります。

猫実先生
猫実先生

犬に使った薬が、猫にとって危険になる。これは意外と知られていないところなので、成分の確認と、塗布後の接触に十分注意していただきたいですね。

不凍液・古い保冷剤

先ほど触れた通り、エチレングリコールは甘い味がするため、猫が自ら舐めてしまいます。

体内で代謝されるとシュウ酸に変化し、カルシウムと結合してシュウ酸カルシウムの結晶となり、腎臓の細尿管を物理的に破壊・閉塞させます。急性の腎不全から尿毒症に至る、極めて危険な物質です。

タバコ・電子タバコ

ニコチンによる急性中毒に加えて、こちらにも被毛経由の経路があります。

猫実先生
猫実先生

空気中の有害物質が猫の被毛に付着し、毛づくろいで舐め取ってしまうんですね。この経路を通じて、悪性リンパ腫や口腔の腫瘍のリスクにつながると指摘されています。

猫実先生
猫実先生

ですから、換気扇の下で吸うといった対策では十分とは言えないんです。外で吸って、帰宅後は手を洗い、着替えてから猫に接する。そこまでして、ようやく被毛への付着を減らせるということですね。

電子タバコには、もうひとつ別の成分があります

パパちゃん
パパちゃん

電子タバコなら、煙が出ないぶん猫にも影響が少ないのかなと思ってたんですけど…。

猫実先生
猫実先生

それが、電子タバコには電子タバコの注意点があるんですよ。リキッドの主成分のひとつに「プロピレングリコール」という物質が使われているものがあるんですね。

猫実先生
猫実先生

これ、人にはほとんど無害で、化粧品や食品にも広く使われている成分なんです。ところが猫では、赤血球にハインツ小体というものが生じて、溶血性貧血につながるとされているんですね。犬では同じような影響が報告されていないのに、猫では起こる。ここでも、猫だけが特別なんです。

ママちゃん
ママちゃん

食品にも入ってるものが、猫には…?

猫実先生
猫実先生

しかもこれ、日本では法令で規制されているんですよ。ペットフード安全法にもとづく省令で、猫用のペットフードにはプロピレングリコールを使ってはいけないと定められています。農林水産省も、猫用フードには使用できない添加物として案内していますね。

猫実先生
猫実先生

フードに入れることすら禁じられている成分が、リキッドとして加熱され、空気中に広がる。そう考えると、「煙が出ないから安心」とは言いにくいところがあります。紙巻と電子タバコ、どちらがより危険かという比較はできませんが、電子タバコなら大丈夫、ということではないんですね。

猫実先生
猫実先生

対応としては、紙巻と同じです。猫のいる空間では使わない。これが確実だと思いますよ。

中毒だけじゃない — 飲み込むと詰まるもの

ひも・リボン・毛糸・輪ゴム

猫実先生
猫実先生

ここからは中毒とは違う危険ですが、同じくらい深刻なのでお伝えしますね。

猫の舌には、喉の奥に向かって生えている突起があります。そのため、ひも状のものを噛んで突起に引っかかると、自分の意思で吐き出すことができず、飲み込むしかなくなってしまうんです。

飲み込まれたひもは、腸のぜん動運動によって腸壁を手繰り寄せ、腸がアコーディオンのように縮んでしまいます。血流が途絶えて腸が壊死したり、ひもが腸壁を切り裂いて穴が開き、腹膜炎を起こしたりする恐れがあります。

靴ひも、ビニールひも、ラッピング用のリボン、毛糸、タコ糸、パーカーの紐、輪ゴム。どれも身近なものばかりです。

ボタン・コイン型電池

猫実先生
猫実先生

これは特に急を要するものです。消化管の中で体液を介して放電が起こり、それによって生じたアルカリが、食道や胃、腸の組織を短時間で腐食させてしまうんですね。

非常に短い時間で穴が開くこともあるとされています。誤飲が疑われる場合は、一刻を争うと考えてください。

乾燥剤・ビニール袋

乾燥剤(シリカゲルなど)は水分を吸って膨らみ、腸に詰まる恐れがあります。ビニール袋も、消化されないまま腸閉塞を起こす原因になります。

片付け方には「レベル」があります

ここまで見てきた危険物を、実際にどう片付けるか。実は、対策には段階があります。

「高い場所に置けば安全」は通用しません

パパちゃん
パパちゃん

とりあえず棚の上とか、冷蔵庫の上に置いておけば届かないですよね?

猫実先生
猫実先生

それが、通用しないんですよ。猫は自分の体長の5倍の高さまでジャンプできると言われています。棚の上も冷蔵庫の上も、猫にとっては障害になりません。

「高いところに置いたから大丈夫」という思い込みは、かなり危険だと思っていただいたほうがいいですね。

レベル1|ロック付きの収納に完全にしまう

薬、サプリメント、洗剤、漂白剤、電池、乾燥剤など。

猫が前足や頭を使っても開けられない、扉やロックの付いた収納に完全にしまいます。「置く場所を変える」ではなく「開けられない場所に入れる」がポイントです。

レベル2|家に持ち込まない

植物、切り花、いただいた花束など。

猫実先生
猫実先生

植物については、しまう場所を工夫するという発想ではなく、そもそも家に入れないという対応が推奨されています。安全と言い切れる植物がない以上、これがいちばん確実なんですね。

花束をいただいた場合も、飾らずに済ませる。ご事情はあると思いますが、猫の命を優先するなら、そう判断していただくのが安全だと思います。

レベル3|使うこと自体をやめる、代替品に替える

アロマ、香料入りの製品など。

これらは、しまっておくだけでは不十分です。使えば空気中に広がり、被毛に付着するからです。使用そのものをやめる、あるいは無香料タイプに切り替える、という対応になります。

なお、ワセリンについては、猫が舐めても問題ない安全な製品として挙げられています。動物病院でも、毛玉症や便秘の際の経口薬として処方されているものです。ハンドクリームの代わりとしても使えますね。

しゃがんで、猫の目線で部屋を見てみる

猫の目線で安全確認
猫実先生
猫実先生

ひと通り片付けたら、最後にぜひやっていただきたいことがあります。しゃがんで、猫の高さから部屋を見回してみてください。

立っている状態では見えなかったものが、驚くほど見えてくるんですよ。ソファの下に転がっている輪ゴム、棚の隙間に落ちた薬の錠剤。人間の視点だと、そもそも視界に入っていないんですね。

【今のうちに】夜間・休日にかかれる病院を調べておく

これは、まだ何も起きていない今のうちにやっておきたい準備です。

中毒事故は、かかりつけの動物病院が開いている時間に起きるとは限りません。夜中かもしれませんし、連休中かもしれない。そのときに初めて受診先を探し始めると、それだけ時間を失うことになります。

  • お住まいの地域の夜間救急動物病院
  • かかりつけの動物病院の、時間外対応の有無

この2つを今のうちに調べて、連絡先を控えておきましょう。冷蔵庫に貼っておく、スマホに登録しておく。それだけのことですが、いざというときの数十分が変わってきます。

わが家が実践している、危険物の片付け方

片付けについて

もともと多趣味なパパちゃんは、釣り、サバゲー、バイクカスタムと、猫にとってちょっと危ない細かいパーツが家に多くあります。

そのため、わが家はボックス系をいっぱい置いていて、とりあえず何でもボックスに入れて、猫が開けられないようにする習慣をつけています。

植物について

しょうちゃんは、植物についてはけっこういたずらをしたり、葉っぱをかじってみたりしがちな子です。そんなこともあり、わが家ではあまり植物を置いていません。

置く場合はフェイクグリーンにしているのですが、かじることを考えると平置きはできないので、小さなフェイクグリーンを、猫がいじらない場所に置く程度になっています。

唯一の例外が、猫の爪とぎ「カリカリーナ Giorno ジョルノ スタンダード(5号鉢用)」に、パパちゃんが10年以上前から持っている『コーヒーの木』を飾っているものです。

【緊急】口にしてしまった、かもしれないとき

こんな様子が出ていたら

猫実先生
猫実先生

次のような様子が見られたら、中毒の可能性を考えてください。

  • 連続して何度も吐く
  • 吐こうとしているのに吐けない
  • 食欲が完全に消える
  • 口をくちゃくちゃさせて、よだれを流す
  • 口をしきりに手で気にする
  • 元気がなく、じっと丸まっている
  • 体が震える

症状がなくても受診してください

猫実先生
猫実先生

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

中毒では、初期に嘔吐などの症状が出たあと、それがいったん治まることがあります。飼い主さんとしては「よかった、回復した」と思いますよね。

ママちゃん
ママちゃん

思っちゃうと思う…。

猫実先生
猫実先生

ところが、体の中では腎臓の障害が症状のないまま進行していることがあるんです。そして再び症状が出たときには、すでに手遅れになってしまっている

猫実先生
猫実先生

「治まったから様子を見よう」ではなく、症状の有無にかかわらず受診していただきたいんですね。何もなければ、それがいちばんです。

早く動くほど、できることが増えます

猫実先生
猫実先生

もうひとつ、時間についてお話ししておきますね。

中毒物質が胃から腸へ流れて体に吸収されてしまう前であれば、動物病院で取れる処置の選択肢が多くなります。逆に言えば、迷っている時間そのものが、その選択肢を減らしていくということなんです。

猫実先生
猫実先生

「もう少し様子を見てから」と考えている間にも、状況は変わっていきます。早ければ早いほどいい。そう考えて動いていただけたらと思います。

【絶対NG】自宅で無理に吐かせないでください

猫実先生
猫実先生

インターネットなどで、家庭で吐かせる方法を見かけることがありますが、これは絶対に避けてください。

  • 塩を飲ませる:極度の塩分負荷により、高ナトリウム血症を招き、脱水、脳障害、激しい痙攣を引き起こす恐れがあります
  • オキシドールを飲ませる:発生した泡が食道や胃の粘膜を化学的に損傷し、壊死性胃炎や出血、ただれを引き起こします
猫実先生
猫実先生

吐かせること自体は、動物病院で安全な薬を使って行えます。ご自宅で無理をなさる必要はまったくないんですよ。

【NG】受診前に食べ物・水・牛乳を与えない

胃の中に食べ物や水分があると、レントゲンやエコーなどの画像診断の妨げになり、治療開始が遅れてしまいます。また、麻酔下の処置を行う際に、吐いたものが気管に詰まって窒息するリスクも高まります。

牛乳については、そもそも猫は乳糖を分解できず、下痢を招くため与えてはいけません。

【絶対NG】おしりから出ている紐を引っ張らない

すでに腸がひもに沿って手繰り寄せられている可能性があります。その状態で引っ張ると、腸を内側から切り裂いて穿孔や腹膜炎を招く恐れがあります。

見つけても、そのまま動物病院へ向かってください。

自宅でできること

猫実先生
猫実先生

では、飼い主さんが自宅でできることは何かというと、基本的には「一刻も早く動物病院へ向かうこと」なんですね。そのうえで、次のことをしていただけたらと思います。

  • 皮膚や目に付着した場合:大量の流水で、優しく十分に洗い流す
  • 持参するもの:誤食した物の現物、パッケージ、成分表示、製品説明書。吐いた物があれば、ビニール袋などに密封して持参する
  • 伝える情報:「いつ」「何を」「どれくらい」口にしたか。そして現在の体重

慌てているときほど、これらを忘れてしまいがちです。診断と治療の手がかりになりますので、可能な範囲で準出来ていると良いです。

すぐ受診すべきサイン

以下に該当する場合は、様子を見ずに動物病院へ向かってください。

  • 有毒な植物を少しでもかじった、生けていた水を飲んだ、花粉が体に付いた
  • 人用の薬やサプリメント、アロマ、殺虫剤、洗剤、不凍液を舐めた、または皮膚に付いた
  • おしっこが1日以上出ていない
  • 連続して激しく吐く、意識が混濁する、けいれん、呼吸困難、ふらつきが見られる

病院でしかできないこと

猫実先生
猫実先生

動物病院では、次のような処置ができます。ご自宅ではできないことばかりですので、やはり早く連れて行っていただくのがいちばんなんですね。

  • 専用の催吐薬を用いた、安全で確実な催吐処置
  • 全身麻酔下での胃洗浄
  • 活性炭などの吸着薬による、腸へ流れた有毒物質の吸着と排出促進
  • 静脈点滴による輸液で、腎臓の血流を維持し、急性腎不全を予防・治療する
  • 血液検査、尿検査、レントゲン、エコーによる精密な診断
  • 内視鏡や開腹手術による、異物の摘出

治療が遅れると、どうなるか

助かっても、腎臓や肝臓の傷は元に戻りません

猫実先生
猫実先生

これは、あまり伝えられていないことなのでお話ししておきますね。

ユリ科の植物や不凍液、α-リポ酸などによる中毒は、治療が遅れると命に関わります。助からないことも珍しくありません。そして、たとえ一命を取り留めたとしても、急性の腎不全や肝不全によって一度壊死してしまった組織は、再生しないんです。

パパちゃん
パパちゃん

戻らない、ということですか。

猫実先生
猫実先生

ええ。生涯にわたる慢性腎臓病や肝障害として残る可能性があります。そうなると、毎日の投薬や定期的な輸液、食事管理が、その子の一生を通じて必要になることもあるんですね。

「助かったから大丈夫」で終わらないことがある。そこまで含めて、知っておいていただけたらと思います。

だからこそ、置かないことがいちばんの対策です

治療には限界があります。だからこそ、先ほどお伝えした片付けのレベル——ロック付き収納にしまう、家に持ち込まない、使うのをやめる——が意味を持ちます。

起きてから対応するより、起きないようにする。この記事でいちばんお伝えしたいのは、結局そこに尽きます。

まとめ

ママちゃん:「この植物、大丈夫かな」って迷ってたけど、迷う時点で置かないのが答えなんだね。すっきりした気がする。

ママちゃん
ママちゃん

「この植物、大丈夫かな」って迷ってたけど、迷う時点で置かないのが答えなんだね。すっきりした気がする。

しょうちゃん
しょうちゃん

ぼく、動くものはつい追いかけちゃうんだ〜。お花の葉っぱもゆらゆらしてて楽しそうなんだもん。

ゆうまさん
ゆうまさん

ぼくはねえ、においが強いのはちょっと苦手なんだ…お部屋は静かなにおいがいいなあ。

パパちゃん
パパちゃん

2匹とも正直だなあ(笑)。今回いちばん腑に落ちたのは、猫は解毒が苦手だっていうところかな。個別の名前を全部覚えるのは無理でも、「知らないものは置かない」って原則を持っておけば、判断できるもんね。

ママちゃん
ママちゃん

うん。それに、夜間の病院を今のうちに調べておくっていうのも、今日やろうと思った。

猫実先生
猫実先生

猫は、人や犬が平気なものを分解できません。判断に迷うものは、置かないという選択がいちばん安全です。今日、お部屋をひとつずつ見直してみてください。気になることがあれば、早めに獣医師さんに相談することをおすすめしますよ。