「2匹目を迎えたい。でも、先住猫は受け入れてくれるかな…」そう考え始めると、気になることが次々に出てきますよね。わが家も同じでした。相性について事前に検討できること・できないこと、そして迎える前にそろえておきたいものを整理します。読み終える頃には、何から手をつければいいかがはっきり見えているはずです。

猫は本来、群れを作らず単独で狩りをする生き物で、自分のテリトリーをもっとも重視すると言われています。そのため、群れで生活しない猫にとって、同居猫と縄張りを共有することはストレスの要因になりやすいとされています。
2匹目を迎えるということは、先住猫にとっては「自分のテリトリーに、別の猫が入ってくる」という出来事でもあるわけですね。

うちの子、日中ひとりで留守番してることが多いから、遊び相手がいた方が幸せなんじゃないかって思ってて…。って思っている人は結構いると思うんですが、実際はどうなんですか???

そのお気持ちはよく分かりますよ。ただ、この点については見解が分かれているんですね。
一方では、単頭飼育の猫は社会的な順位を気にする必要がなく、日中ひとりで留守番をしていても問題行動は起きにくい、という見方があります。他方で、単頭飼育では分離不安が見られるという説もあるんです。文献によって説明が分かれているところなので、「1匹だと必ずかわいそう」とも「2匹いれば必ず幸せ」とも、言い切れないというのが実際のところだと思いますよ。

じゃあ、「寂しそうだから」という理由だけで決めるのは、ちょっと危ういってことですね。

そうですね。少なくとも、安易に頭数を増やすことが先住猫にとってテリトリーを脅かされる大きなストレスになり得る、という点は押さえておいていただきたいところです。
とはいえ、「だから2匹目はやめた方がいい」という話ではありません。大切なのは、迎える前に検討できることを一つずつ潰していくこと。次の章から、具体的に見ていきましょう。

よく「オス同士は難しい」とか「この猫種はおっとりしてるから合わせやすい」とか聞くけど、実際のところどうなんだろう?

気になるよね。組み合わせで決まるなら、事前に選びようもあるし。
今回参照した文献の中には、性別の組み合わせと相性についての記述がありませんでした。ただ、東京都動物愛護相談センターのサイトでは、この点について傾向が紹介されています。
そこでは前提として、性別による組み合わせは個体差が大きく、不妊・去勢手術の影響でも変わるため一概には言えない、と説明されています。そのうえで、参考として次のような整理がされています。
- オス × メス:異性同士は比較的うまくいきやすいとされています
- メス × メス:子育てを助け合うこともあるため、比較的なじみやすいとされています
- オス × オス:縄張り意識からケンカに発展しやすく、性別の組み合わせとしてはもっとも難しいとされています


うちはオス同士だから、まさに注意が必要な組み合わせだったんですね…。

とはいえ、これはあくまで傾向のお話ですよ。オス同士でもうまく暮らしている家庭はたくさんあります。むしろ大事なのは、この傾向を知ったうえで、逃げ場のある環境を先に用意しておくことだと思いますね。
※参考:東京都動物愛護相談センター「猫を複数飼いする前に考えること〜猫同士の相性編」
一方で、年齢については比較的はっきりした傾向が示されています。
- 子猫同士:比較的、環境を柔軟に受け入れやすいため、一緒に暮らしやすく、うまくいくケースが多いとされています
- 老猫や神経質な猫に新入りを迎える場合:環境の変化を好まない老猫や、警戒心が強く神経質な猫にとっては、新入り猫の存在が多大なストレスになるケースが多いとされています
事前に検討できる材料としては、性別や猫種よりも、この「年齢」がもっとも現実的な判断軸になりそうです。

猫種ごとの性格の傾向としては、次のような特徴が挙げられています。
| 猫種 | 語られることの多い性格の傾向 |
|---|---|
| アビシニアン、マンチカン | 活発で好奇心旺盛、よく遊ぶ |
| アメリカン・ショートヘア | 陽気で人懐こい |
| ブリティッシュ・ショートヘア、ペルシャ | 穏やかで人懐こく、もの静か・おっとりしている |
| ノルウェージャン・フォレスト・キャット、メイン・クーン、ラグドール | 基本的に温和で静か、愛情深い |
| ロシアン・ブルー | 見知らぬ人には打ち解けにくいが、本来は愛情深く賢く穏やか |

これを見ると、穏やかな猫種を選べば相性も良さそうに思えるんですけど…。

気持ちは分かりますよ。ただ、猫種と相性の関係については、資料の中に記述がないんですね。ですので、「この猫種だから先住猫と合う」とは言えないんです。

それに、ごく幼い時期に母猫やきょうだい猫と過ごし、人や環境に触れる経験を重ねることで、力加減や猫同士のルールを学び、生涯を通して人やほかの動物にも慣れやすくなると言われています。品種より、その子が何を経験してきたか。そちらの方が、慣れやすさには大きく影響するのかもしれませんね。

血縁関係のある猫どうしは、親密な関係であることが多いとされています。きょうだい猫を一緒に迎えるといったケースであれば、この点は一つの安心材料になりそうです。
不妊手術を行うことで、オスは攻撃性が和らぐ傾向があるほか、発情期特有のストレスや、尿スプレー行動といったトラブルを減らせるとされています。

ただ、これも「攻撃性がまったくなくなる」という意味ではありません。あくまで傾向として和らぐ、トラブルを減らせる、という受け止め方をしていただくのがよいと思いますよ。あ

それともう一つ。去勢手術をしたあとでも、同居猫との争いが残ったり、自分のニオイをアピールするための尿スプレー——壁などの垂直な面に少量のおしっこを飛ばす行為ですね——が続くことがあると言われています。手術をしたから絶対に起きない、というわけではないんですね。
ここまで、新しく迎える猫側の条件を中心に見てきました。でも実は、もう一つ大事な軸があります。先住猫がどんな性格か、という点です。
東京都動物愛護相談センターのサイトでは、先住猫が社交的な性格であれば対面時からスムーズにいくこともある一方、1匹でいることを好むタイプや、人にべったりで猫が苦手なタイプの場合は、不仲になるおそれがあると説明されています。

たしかに、新しく来る子のことばかり考えてたけど、うちの子がどういうタイプかって、意外と考えてなかったかも。

たしかに、新しく来る子のことばかり考えてたけど、うちの子がどういうタイプかって、意外と考えてなかったかも。

ちなみに、高齢だからといって必ず難しいわけでもないんです。社交的な性格であれば、高齢の猫でも子猫の世話を積極的にして活発になることは実際にあると言われています。ただ、それを期待して「やんちゃな子猫を迎えれば若々しくなるだろう」という意図でお迎えするのは、おすすめできないとされていますね。
※参考:東京都動物愛護相談センター「猫を複数飼いする前に考えること〜猫同士の相性編」
ここまで整理してきた通り、事前に検討できる材料はあるものの、「この組み合わせなら大丈夫」と保証してくれる条件は見つかりませんでした。
つまり、相性は実際に対面させてみないと分からない、というのが正直なところです。だからこそ重要になるのが、このあとお伝えする引き合わせの手順と、環境の準備なんですね。

わが家では、先住猫のしょうちゃんが2歳くらいのときに、生後半年ほどのゆうまさんをお迎えしました。
お迎え前に、最低限の知識は軽くネットで調べていたのですが、今思い返すと、かなりいい加減な対策だったなと思います。隔離期間も短いままでしたし、しょうちゃんが嫉妬からなのかストレス気味になってしまったりと、準備や意識の不足がはっきり露呈しました。
結果として何事もなかったからよかったものの、たまたま運がよかっただけかもしれません。家に「かわいい」を増やしたい、という飼い主のエゴだけで動くのではなく、あらかじめいろいろな想定とリスクに備えたうえで新しい子を迎えることは、本当に重要だと感じています。

トイレの数は「頭数+1個」が理想とされています。2匹なら3個ですね。
そして多頭飼いの場合に大事なのが、離れた複数の場所に置くということ。立場の強い猫に遠慮して排泄を我慢してしまう、ということが起こり得るためです。並べて置くのではなく、猫がそれぞれ気兼ねなく使える配置を意識しましょう。
食器(フード用・水用)は、必ず頭数分を個別に用意します。材質については、プラスチック製は雑菌が繁殖しやすいとされているため、ガラスや陶器など割れにくいものが推奨されています。
ベッドもテリトリーを干渉し合わないよう、頭数分を用意します。家の中にいくつもくつろげる場所を作っておくことがポイントです。
新入り猫の初期の隔離や、このあとお伝えする対面ステップで使うため、ケージは1台必須になります。
これは何よりも優先されるルールです。先住猫と接触させる前に、新しく迎える猫のワクチン接種が済んでいること、そして感染症や寄生虫など健康に問題がないことを、必ず動物病院で確認しておく必要があります。
そしてもう一つ、見落としがちなのが先住猫側の準備です。東京都動物愛護相談センターのサイトでは、新入り猫に検査や駆虫を受けてもらうのと並行して、先住猫にもあらかじめワクチン接種を受けさせておくことが大切だとされています。守るべきは新しい子だけではない、ということですね。
※参考:東京都動物愛護相談センター「猫を複数飼いする前に考えること〜猫同士の相性編」

もし迎える猫が外で生活していた場合は、もう一段慎重に進めていただきたいですね。

寄生虫や病原体の感染を防ぐために、1ヶ月間は先住猫と居住空間を分ける必要があるとされています。動物病院でウイルス検査や駆虫薬の投与をしてもらったうえで、それだけの期間をかけて様子を見る、ということですね。

1ヶ月って、思っていたよりずっと長いですね。

そう感じられるかもしれません。ただ、ここを焦って詰めてしまうと、守りたかった先住猫の健康を損なうことになりかねません。次にお伝えする引き合わせのステップも、この期間を確保したうえで進めていただければと思いますよ。

最初は、新入り猫を別の部屋に置き、距離を置いた状態からスタートします。この段階では、直接顔を合わせることなく、お互いのニオイや気配に慣れてもらうことが目的です。

それぞれのニオイがついた愛用のベッドやタオル、おもちゃなどを交換して、相手のニオイに慣れてもらいます。

気配に慣れてきたら、新入り猫をケージに入れた状態で、はじめて対面させます。お互いの様子を見ながら、慎重に進めましょう。
【絶対NG】いきなり直接対面させること

早く仲良くなってほしくて、つい最初から同じ部屋にしたくなりそうですけど…。

それは避けていただきたいですね。猫は縄張り意識が強く、環境の変化にも敏感です。急に対面させてしまうと、激しいストレスやパニック、無用なケンカを引き起こす原因になると言われています。遠回りに見えても、段階を踏むことが結局は近道になりますよ。
どうしても新入り猫に手がかかり、意識も向きがちですが、すべてのステップにおいて、何事も先住猫を優先してケアと愛情を注ぐことが大切だとされています。
もしよほど相性が合わなかった場合でも、行き止まりではありません。接触を完全に断ち、別の部屋で生活させるなど、互いに干渉し合わない安全地帯と避難場所を用意する、という着地の仕方があります。
「仲良くさせなければ」と思い詰めなくても大丈夫、ということですね。

多頭飼いでは、テリトリーを干渉し合わないよう、ベッドやトイレを頭数分用意したうえで、部屋の隅や壁際など落ち着ける場所に分散させることが大切だとされています。

部屋数がそんなにない場合はどうしたらいいんだろう・・・?

そういう場合は、「タテの空間」を活用してみてください。キャットタワーや家具の段差(キャットステップ)を使って高低差を作ることで、猫だけが行き来できる専用通路や、視線を遮って隠れられる場所を設けることができますよ。床面積が限られていても、上方向に居場所を増やすという発想ですね。
多頭飼いで見落とされがちなのが、食事の管理です。食いしん坊の猫がほかの猫のごはんまで食べてしまうことがあり、それぞれの摂取量が分からなくなってしまうんですね。
対策としては、猫を別の部屋に分けたり、それぞれをケージに入れて食事を与えるなど、細かな管理が必要になります。
避難用のキャリーバッグは、原則として頭数分が必要になります。
そして意外と見落としがちなのが、複数頭を1人で運び出すのは困難だという点です。家族で手分けをするか、大きめのキャリーやペット用カートに複数入れて運ぶか、その手段を事前に決めておく必要があります。


多頭飼いで、私がいちばん気にかけていただきたいのがここなんです。トイレを共有していると、「どの猫が排泄したのか」が分かりにくくなってしまうんですね。おしっこやうんちの異常は、体調を知るうえでとても大事な手がかりなのですが、それが誰のものか判別できなくなってしまう。

嘔吐についても同じことが言えます。吐いたあとを見つけても、誰が吐いたのか分からない。その結果、病気の初期サインを見逃してしまうリスクが高まると言われています。

嘔吐についても同じことが言えます。吐いたあとを見つけても、誰が吐いたのか分からない。その結果、病気の初期サインを見逃してしまうリスクが高まると言われています。
- トイレを分けて設置し、どの子がどれを使っているかを把握しておく
- 食事を個別に与えて、それぞれの摂取量を見られるようにしておく

先ほどお伝えした環境づくりが、そのまま健康管理の土台にもなる、ということですね。なお、実際に何かが起きたときの応急処置については、手順を短く紹介すると誤った実施につながりかねないため、この記事では扱いません。別の機会に、あらためて丁寧にお話しできたらと思います。

次のようなサインが見られたときは、早めに動物病院さんへ向かってください。
- おしっこが1日以上出ていない
- 連続して何度も吐いている
- 食欲がなく、ぐったりしている

ただ、時間だけで機械的に判断するのではなく、トイレでの様子や全身の状態とあわせて見ていただきたいですね。特に多頭飼いでは、最後の排泄がいつだったのかが分かりにくいものです。「気づいたときにはかなり時間が経っていた」ということも起こり得ますので、日頃から把握できる環境を作っておくことが、ここでも効いてきますよ。

猫ってよく吐くものだから、元気そうなら大丈夫かなって思ってました。

これはよくある誤解なんですね。吐く行為には、毛玉だけでなく、アレルギー反応や内臓疾患など、何らかの原因が隠れている可能性があると言われています。「よく吐くから」と放置せず、吐しゃ物の内容や頻度を観察して、気になるようであれば受診していただきたいところです。
それともう一つ。誤食が疑われるときに、自宅で無理に吐かせようとするのは絶対に避けてください。塩などを飲ませるといった方法も含めて、これは行ってはいけない対応とされていますよ。

わが家のゆうまさんは、寝ているところをしょうちゃんによく追い出されてしまい、別の部屋に一人でいることが多くなっていました。そこで、ゆうまさんがよくいるその部屋(実はパパちゃんの仕事部屋なのですが…)の高い場所に、キャットステップとベッドを作ってあげました。
不思議なもので、そのベッドについては、しょうちゃんもなぜか邪魔をしません。ゆうまさんのテリトリーだと認識しているのかもしれませんね。おかげでゆうまさんは、快適に過ごせているようです。
結果として、ゆうまさんは一日の多くの時間をその「ゆうまスペース」で過ごすようになり、以前より落ち着いた気がしています。
もともとは、しょうちゃんから逃げた結果としてその部屋にいることが多かったわけですが、あらかじめ居心地の良い場所にパーソナルスペースを作ってあげることは、かなり重要なのではないかなと思っています。わが家はオス×オスなので、なおさらかもしれません。

「先住猫は受け入れてくれるかな」ってことばかり心配してたけど、受け入れてもらう前に、やることがこんなにあったんだね。

ぼく、新しい子が来ても、ママちゃんがちゃんとぼくを見ててくれたら平気だよ〜!

ぼくはねえ、自分の場所がちゃんとあれば、それで安心なんだ…。

相性を当てにいくんじゃなくて、合わなくても大丈夫な環境を先に作っておくことなんだね。そう考えたら、ちょっと気が楽になった気がする。

性別や猫種で相性が完全に決まるわけじゃないし、結局は対面させてみないと分からない。だからこそ、手順を踏むことと、環境を整えておくこと。この2つで備えるしかないんだよね。

相性は迎えてみないと分かりません。だからこそ、どちらに転んでも大丈夫な準備が、いちばんの近道になりますよ。まずは、今いる子の居場所を見直すところから始めてみてください。それだけでも、きっと変わってくるはずです。

